「毎日忙しく働いているのに、1年前と状況があまり変わっていない」
「セッションや発信、勉強を続けているのに、時間にも収入にも余裕が生まれない」
専門家として個人で仕事をしていると、こうした感覚を持つことがあります。目の前のお客様へ本気で向き合っているからこそ、一日が現場対応だけで終わり、未来のために考える時間が後回しになりがちです。
僕自身も、忙しい現場に入っている時期には、次に向けてやりたかったことの十分の一も進まなかったと感じることがあります。Podcast「Beyond Solo」第437回では、「目的へ向かっている時期」と「忙しいだけで止まっている時期」の違いについてお話ししました。
この記事では、その見分け方と、90日で仕事を前進させるための考え方を整理します。
お客様への対応、セッションの準備と記録、発信、集客、経費の整理。個人事業主には、担当する仕事がいくつもあります。
一日を終えたときに疲れていると、「今日もよく動いた」という実感は残ります。ただし、その行動が目指す働き方や売上につながっているとは限りません。
僕が区別しているのは、次の二つの時期です。
見た目の忙しさでは判断できません。違いを生むのは、今の行動が自分で決めた目的から逆算されているかどうかです。
誰に何を届けるのかを考える。商品や講座を設計する。必要な資料を作る。届ける仕組みを整える。
こうした時期は、SNSの投稿や売上など、外から見える動きが一時的に少なくなることがあります。それでも、自分で決めた目的へ近づくために手を動かしているなら、止まっているわけではありません。
電車が次々と出発していく駅のホームで、自分だけが残っているように感じるかもしれません。周囲の活動が目に入ると焦りも生まれます。しかし、次の数字を動かすための準備であれば、その静かな時間には意味があります。
個人で仕事を続けるには、外へ向かって動く時間だけでなく、立ち止まって設計する時間も必要です。
もう一つは、目の前のことに追われ、目的につながる行動へ手が回っていない状態です。
僕はこの状態を、スタンドを立てたまま自転車のペダルを一生懸命こいでいる姿にたとえています。体力は使い、汗もかきます。しかし、自転車は目的地へ進みません。
厄介なのは、動いて疲れているほど、前進している気になりやすいことです。「もう少し落ち着いたら考えよう」と思っても、真面目な人ほど空いた時間に次の仕事を入れます。そのため、意識して時間を確保しなければ、落ち着く時期はなかなか来ません。
セラピスト、トレーナー、治療家、コーチなどの専門家は、技術や知識を学び続けます。学ぶこと自体は、仕事の質を保つために欠かせません。
ただし、「学んでいるから将来へ進んでいる」とは限りません。
資格や講座が増えても、その知識を誰へ、どのような形で届け、事業の売上へつなげるのかが決まっていなければ、働き方は変わらないことがあります。もっと技術があれば売れるはずだと考え、今持っている専門性を活かす段階を先送りしてしまうケースもあります。
学ぶ前に、次の点を確認してみてください。
目的から逆算して必要だと判断した学びなら、静かでも前進している時間になります。
僕は、仕事の計画を90日単位で考えることを勧めています。
3か月ですべてを完成させるのは難しくても、方向を変え、新しい仕組みを動かし始めるには十分な期間だからです。年末や1年後に実現したい状態を決め、そこから90日で作る変化を考えます。
たとえば、次のような項目を具体的にします。
「こうなったらいい」では希望のままです。「90日後に、この状態にする」と言い切ると、自分の意思が入り、必要な行動を選びやすくなります。
まず、「90日後に仕事がどうなっているか」を一文で書きます。立派な事業計画にする必要はありません。
「週に一日は、商品づくりだけに使える状態にする」「既存のお客様へ新しいオンライン講座を届ける」など、自分が進みたい方向を言葉にします。
直近一週間に時間を使ったことを書き出し、それぞれが90日後の状態へ近づく行動かを確認します。
目の前のお客様に必要な仕事と、事業を育てるための仕事は、別の道になることがあります。両方を同時に進める必要があるからこそ、時間を分けて考えます。
発信、ブログ、Podcast、YouTube、ホームページの修正、商品づくり。すべてを一度に始めると、どれも途中で止まりやすくなります。
今の目的へ最も大きく近づけるものを一つ選び、完成するところまで橋を架けます。やることを増やすより、何を今はやらないかを決めることも大切です。
週に一度、静かにノートと向き合う時間を作ります。「忙しかったか」ではなく、「目的へ近づいたか」で一週間を振り返ります。
進んでいなければ、自分を責めるのではなく、予定と行動の組み方を修正します。90日という期間の中で、小さく軌道修正を続けることが前進につながります。
個人で仕事をする魅力の一つは、自分が望む働き方や生活に合わせて事業を設計できることです。その一方で、向かう方向も自分で決めなければなりません。
いい仕事を続けることは大切です。しかし、その価値が誰に届くのか、どのような仕組みで仕事になるのかを決めなければ、忙しさだけが残る可能性があります。
まずは、90日後に実現する状態を一文で書いてみてください。そして、今取り組んでいることが、その状態へ近づく一本の橋になっているかを確認してみましょう。
うまくできているかよりも、自分が決めた目的へ向かって進めているか。その視点を持つだけでも、次に選ぶ行動は変わります。
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About me

森部高史|専門家ビジネスの再設計
株式会社Pono Life代表。元英語教師。
渡米後はアスレティックトレーナーとして活動し、帰国後に独立。
現在は、専門性を持つひとり事業主に向けて、経験を商品やコンテンツに変える方法と「自分軸経営」を伝える。
このブログでは、発信・商品づくり・働き方のヒントをお届けします。
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